Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 俳句に正解はない <和歌に師匠なし>

俳句が流行りである。民放の番組でやっているのが、人気だそうだが、エンターテイメントの俳句としては、あれで、良いのだろう。


ただ、ほとんど、その番組の宗匠の一存で、持ち上げられたり貶められたりする、参加している芸能人の皆さんが、少々、気の毒に思えて来るが。


俳句は、未だに、師匠というものが存在する、不思議な文芸である。前の記事でも書いたが、俳句は、形式の緩い文芸であることは、間違いないのだが、膨大な季語を覚えておく必要があることと、日本人が、元々、師匠好きな国民性を持っていることに、起因しているかも知れない。


句の見方などは、その派によって、じつに様々であるし、ある派では見向きもされなかったが、別の派では、喝采を浴びたなどは、よくある話である。


あの番組のように、添削するような宗匠を一人に、決めるのではなく、色々なそれなりの人たちが意見を言い合って、皆が、出し合った句を、一つ一つ磨いて行こうとするのが、現在の句会のあり方である。もちろん、古いやり方を守っている所もずいぶんあるようだが。


定家の時代、和歌の宗匠たちの横暴に、嫌気が差したのか、定家は「和歌に師匠なし」ということばを残しているし、また、本当のことである。


これを俳句の世界に、持ってくれば、今風の私流の言い方で、「俳句に正解はない」と言いたいところではある。