Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 中秋の名月 <文学と伝統>

月澄んで猫になりたい夜だった


わたし自身は、月についてのどんな詩を書いてきたかと、振り返ってみたところ、上記の句と下記の詩が思い当たり、UPしてみました。


はじめて、自分の過去記事を、リブログしてみました、宜しかったら、ご覧ください。



詩は、秋の虫と月との取り合わせで、奇抜でも何でもないのですが、自分では忘れられない方の詩作となった、詩です。文芸同人誌に所属していた頃に書きました。


それで、今日は中秋の名月ということで、いささか、大げさな題を付けてみましたが、もし、自分で書いた詩が、自分の国の文化伝統に沿うものであったなら、そのよろこびは、これに優るものはないほどのものでしょう。それも、日本というしっかりした文学と伝統を持った国においてでは。


蟻台上に餓えて月高し


ご存じの方も、いらっしゃるかと思いますが、近代の作家横光利一の名句です。破調の句ですが、じつに見事な句だと思い、大岡信さんの本に紹介されていて、孫引きですが、引用してみました。


近代文学のキーワードであった餓えと、蟻のように卑小に過ぎない自我と、超絶した明るい月との対比、また、語句の簡潔さ。名句と呼ぶのに、ふさわしい出来映えだと思います。


古来より、日本人は、如何に多く、月の歌を詠んできたことか。詠んでも詠んでも、尚、尽きないものがあったという証でしょう。


月は、そのまま花鳥風月のひとつに数えられています。他の外国の詩で、思い当たる有名な月の詩は、牀前に月光を見る 疑ふらくは之地上の霜かとの漢詩くらいでしょうか。管見に過ぎませんが。


日本人が詠んできたような、情感に溢れる月は、極々、僅かなようです。


さて、それで、わたしが詠んだ月並みなとぼけた句と詩ですが、何か、少しでも、取り柄のようなものがあったら、とても嬉しいのですが。