現代詩 ねずみの死
ねずみがうずくまって死んでいる
いかにもやさしく目を閉じて
コンクリートの冷たさも
もう気にならない
物音に身を縮めることもない
尻尾は全く垂れた
生きている間必死に餌を求めて飛びまわっていた
姿に比べれば
これはなんと荘厳な姿だろう
死の一瞬を覚悟したもののように
手足は平静に開かれている
死んだねずみの傍らを絶え間なく流れていく時間
そうして
生きている私
ねずみと私とのちょうど真ん中に
私は握りこぶしほどの石を一つ置いた
死がその沈黙の声を親しく語りかけてくるように
猫が来た
しばらくにおいを嗅いで
そのまま咥えて行った
死がまた一つ
わたしの記憶の底に沈んだ
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