Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

「星の王子様」サン・テグジュペリ

サン・テグジュペリはフランスの作家です。この作品は世界中の多く人に読み継がれて、中には熱狂的なファンがいます。「星の王子様」は永遠の少年の物語と言っていいでしょう。本当に大人と言える人間が果たしているのだろうかという現代の状況にあって、むしろ、進んで開き直って大人になることを拒んだ書と言えるでしょう。その代わり、永遠の少年から見た世の中の愚劣さ、バカバカしさ加減が容赦なく暴かれます。作品の底流を流れている透明な抒情性は正しく永遠の少年の心情のそれです。ただ、それが本当に確固としたあるものなのか、それとも自然消滅するある一時期の感情に過ぎないのか。ファンからは怒られるかも知れませんが、わたしにはどうしても一抹の不安が残る、滅びゆくはかなさを内包した作品に見えます。ファンには却ってそれがいいのかもしれませんが。