Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 数学というもの <岡潔>

数学科出身で、名古屋大学の大学院を卒業した人と、懇意になったことがあるが、この人に岡潔という人について、質問したことがある。果して「知らない」という、こちらが、エッと思うような返答がかえってきたものである。


数学は、代数、幾何、解析という専門に分かれるそうだが、この人は、代数と幾何が専門で、この三つをすべてクリアしている数学者は、ほとんど居ないのだそうで、岡潔という数学者は、解析が専門ということであった。


それにしても、わたしが懇意になった、その数学科出身の人は、フェルマーの予想を、卒業論文のテーマにするくらいで、確か、最近この難問を解いた数学者は、数学のその三つの専門に通じている人だったということくらいは、わたしでも、教養として知っていたのだが、その人は、本当に、岡潔という世界的に名が轟いている日本の数学者の名前さえ知らなかった。


じつは、この岡潔という人は、世界的な数学者には違いないが、名だたる賞を取ったことがないという、また、不思議な数学者なのである。


最近知ったことだが、この岡潔という人は、この人の家の家訓で、「他の人を先にし、自分を後にせよ。」という言葉を、そのまま守った人だそうで、そのことが、先の話になったようなのである。


わたしは、また、別の数学科で大学院を卒業した人と、少し話をする機会を、得たのだが、この人は、岡潔さんの解析を学ぶことで、それが、自分の学問の拠り所となったと熱っぽく語ってくれたものである。


岡潔さんの業績については、数学の門外漢でも分かるように、その勘所について、岡潔さん自身が語っているので、そのことを少しだけ書いておきたい。なんでも、今までの数学の冬の景色を、春に変えて見せた数学上の業績だそうである。


数学の世界の不思議な話でした。