エッセイ アイデアというもの <あるスーパーの道路>
名古屋にあるある大きなスーパーマーケットで、これは、というアイデアを目の当たりにしたことがある。
その大規模スーパーは、歩行者の通行路と車の出入りする道とが、ちょうど、交差するような構造の入り口になっていて、スーパーができたての頃は、歩いて出入りする人と出入りする自動車とがぶつかりそうになることが、よく起こった。
スーパーは、どういう対策を取ったかというと、横断歩道の線を道路に描いたり、交通整理をする人を雇ったり、さまざまなことをしていたが、どうにも、うまい案が出ないらしく、時には、交通整理の人も立たないことがあったりして、危なっかしくてしょうがなかった。
人を雇うと、余計な人件費がかかってしまい、経営を圧迫するのだと見当はついたが、さて、どうするのかと思っていた。
そうして、それから数週間ほど経った、ある日のこと、今まで平坦だった道の車道側に、横断歩道から約三メートルほど離れた所に、五センチほど盛り上がった凸型の段差が、左右の道路の両方に出来ていた。
これが、すごいアイデアだった。この五センチほどの盛り上がった箇所のために、自動車はスムーズに通行することが出来ず、どうしてもそこでスピードが落ちて、失速する。
歩行者は、それで、なんなく通行できる。自動車は、というと発進しようとするとアクセルを少し深く踏み、急発進するような格好となってしまうのを嫌って、減速し、どうしても歩行者を優先せざるを得なくなる。
歩行者優先を念頭に置いた、とてもシンプルで安上がりで、効果覿面な、見事なアイデアだと思った。
世の中には、大した知恵者がいるものだと、ひどく感心したものだった。
他にも、ある商品で感心したアイデアがある。またの機会にそのことを書いてみたい。
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