Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ ブラームスのこと <ロマン派の音楽2>

じつは、わたしは40代になるまで、ブラームスについては、しっかりと聞く機会を持たなかった。


ブラームスのバイオリン協奏曲やピアノ協奏曲が、こんなに良いものだとは、CDを買って聞くまで、気が付かなかった。わたしは、ブラームスについては、何故か、交響曲ばかりに目が行ってしまっていたのである。


その交響曲についても、1番は重苦しいし、3番、4番も聞くには聞いたのだが、モーツァルトやベートーヴェンに比べると、ずいぶんと見劣りがするし、2番だけは、メンデルスゾーンの「スコットランド」や「イタリア」と同じくらい良いかな、ぐらいの感想だった。


そうして、あるとき、大岡昇平の本を読んでいたら、「モーツァルトの旋律がすばらしい」と言うと、小林秀雄から「ブラームスの旋律だって、美しいですよ。」と叱られたと、書いてあって、あれ、と思ったものだった。


それで、例によって、吉田秀和さんの本を引っ張り出して、ブラームスを項を読んでみたら、わたしが飛ばし読みしていた箇所が見つかり、上記の曲目を聞いて、仰天したものであった。


バイオリンはクレーメル、ピアノはアラウの演奏のものだった。


如何に、自分が頓馬だったかと思い、ブラームスに対しての不明を恥じた。いや、音楽の世界は広い。それからは、他にも、まだ、わたしが知らないでいる、隠れtた名曲があるのではないかと、反省するようになったものだった。