Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ きれぎれ草 64 <阿呆と利口>

阿呆とは、自分を阿呆と認めたがらない人間のことである。


     ○


人間を、バカか賢いかでしか、見たがらない人に出会ったことがある。その人間観の貧寒さは、さて置くとしても、その人は、自分がバカと呼ばれることを、極度に恐れていたものである。


     ○


阿呆は阿呆で、パーフェクトであるし、利口は利口でパーフェクトなものである。だが、どちらが、豊かな人生を送ることができるかは、知れたものではない。


     ○


バカな人間は、その単純さ故に、自分を人間として深める余地を持っているが、利口な人間は、その頭の良さを利用して、自分を掘り下げる手間を省き、物事について、上手く立ち回ろうとするものである。