エッセイ きれぎれ草 64 <阿呆と利口>
阿呆とは、自分を阿呆と認めたがらない人間のことである。
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人間を、バカか賢いかでしか、見たがらない人に出会ったことがある。その人間観の貧寒さは、さて置くとしても、その人は、自分がバカと呼ばれることを、極度に恐れていたものである。
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阿呆は阿呆で、パーフェクトであるし、利口は利口でパーフェクトなものである。だが、どちらが、豊かな人生を送ることができるかは、知れたものではない。
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バカな人間は、その単純さ故に、自分を人間として深める余地を持っているが、利口な人間は、その頭の良さを利用して、自分を掘り下げる手間を省き、物事について、上手く立ち回ろうとするものである。
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