Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ きれぎれ草 50<ドストエフスキー、武士道>

ドストエフスキーは、読者がおよそどの位の時間で、自分の小説を読むのかを、勘定に入れ、その上で、時間感覚を自分流にねじ曲げて書くという、離れ業をやってのけている。


     ○


武士道は他の思想<これは外来種であっても良い>の、いわば急所となる本質的な部分を、取り入れながら、発展していくという極く稀な思想である。


     ○


例えば、欧米の思想は、神か王となることを前提とした思想に満ちていると言って良い。東洋、特に日本の思想は、その点を回避することが、可能である。何故にと言えば、もう、神や王は所与として、決定しているからである。つまり、それに事<つか>える、侍らふということが、主にすべき仕事となる。その意味で行けば、武士道は純日本産の思想と言える。