エッセイ カセットテープのこと <フィリップス社>
現在、もっとも、堅牢で長持ちのする記憶媒体は、磁気テープだと言われている。パソコンのHDDのような記憶媒体では、コンピューターウイルスによって、情報が破損されてしまう恐れがあるが、磁気テープでは、その心配はないのだそうである。
日本では、ある企業が、あらゆる有意義な情報を、本であれ、音楽であれ、なんであれ、この磁気テープに保存しようという事業が、地道に為されていると、ある報道で聞き知った覚えがある。日本はおもしろいことに、情熱を傾ける国である。
それで、題名のカセットテープであるが、これはフィリップスというオランダの会社が開発したもので、当時、オープンリールと呼ばれる磁気テープしかなかったときに、手軽に、録音や音楽再生をできるようにと、片手で操作できる簡便な方法はないか、模索して出来上がったと聞いている。
このフィリップスという会社が偉いと思うのは、その開発したカセットテープの特許を取らなかったことである。そうして、もう一つこだわったことは、カセットテープの大きさと規格は、われわれが開発した、この大きさで、統一して欲しいということであった。これも、色々な大きさと規格のものができたら、カセットテープが普及しないであろうという、親心からである。
実際、今、2スピーカーが主流であるが、4チャンネルが主流にならなかったのは、各企業で、規格が乱立してしまったせいである。
それを考えると、フィリップスという会社は、とても先見の明があったと言わなければ、ならないだろう。今でも、カセットテープは生きていて、CDの即物的な生々しい音を嫌がり、カセットテープのアナログの音を好む、若者が増えているという現象がある。
カセットテープが生き残ったのは、やはり、そうした賢明な知恵を、働かせる人が居たからであろうと思っている。
※カセットテープについては、色々と思い出があるので、後の記事で書いてみたい。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。