エッセイ 音楽は不思議な芸術 5<至上の芸術とは>
音楽は、果たして、至上の芸術であるか。
「すべての芸術は音楽になりたかった」というショーペンハウアーのことばは有名で、これに異論を唱える人も少ないようだが、現在、音楽が享受しているこの破格の待遇は、確かなものかどうかを、問うてみるのも面白いかも知れない。
思うに、音楽は、区分けを嫌がる芸術であるようだ。例えば、ヴィヴァルディとバッハとでは、音楽の在り方がまるで異なるのだが、両者とも、音楽史上の大家で通っている。
この音楽の在り方が、ともすると、たんにその時の聴衆に迎合するだけのつまらない音楽を、優れた芸術として、僭称しかねない。これは、文学には見られない現象で、文学では、通俗文学と純文学とをはっきりと区分けする。
この、いわば清濁併せ呑むような、音楽という芸術の在り方は、果たして、芸術として健全な在り方なのか。さて、どうであろうか。
<続く>
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