Toshiのエッセイと詩とおすすめ本と絵などのブログ by車戸都志春

文芸を中心に、エッセイやおすすめ本の紹介文、人物画、写真、現代詩、俳句、短歌などを載せたブログ。by:車戸都志正

エッセイ 特措法改正案 <目に見える腹芸>

お気付きの方も、多かったと推測するが、今回の特措法の改正案が、立憲民主党も加えての賛成となったのは、自民党と立民党との間の腹芸が、物を言ったものと言って良い。


先ず、最初に提出されていた法案に、自民党がわざわざ刑事罰を加えておいたことが、腹芸の腹芸たる所で、この最初の刑事罰を伴った法案が、国民感情から逸脱したものであることは、自民党自身、はじめから分かっていたことである。


では、なぜ、自民党はわざわざ刑事罰を加えておいたのか。理由は、立民党に国会での出番を与えるためである。言わば、立民党の顔を立てるための法案だというところが肝心な点で、もし、刑事罰が加えられていなかったら、立民党が唯々諾々と、なんの手柄もなしに、法案に賛成する訳がないので、立民党が、刑事罰に反対し、自民党がそうかこれは行き過ぎであったと、態度を改める。そうした役割を国会でちゃんと果たしたところで、法案を成立させるという、少々手の込んだ手法なのである。


また、そうしなければ、立民党のような野党で多数を占める政党を、取り込むことが出来ない法案となってしまったことだろう。


日本風の腹芸が、まるで、ガラス張りになったように、よく見える政治劇である。因みに言って置くと、共産党という政党はこの腹芸が通じない、不思議な日本の政党である。


けれども、こうしてその種明かしをしてみた訳だが、これは、言わば、よく成熟した政治の在り方のひとつなので、日本の政治が、他の国の政治より優っている一例と言って良いくらいな政治劇なのである。


一部のある人からは、そんなのは、茶番劇だという声も聞こえてきそうだが、敢えて言わせてもらえれば、政治劇とは、こうした品のある狂言芝居であることが、ぜひとも必要なことだと言って良いくらいなものなのである。


そうでなければ、議場で暴力を振るっても、まるで構わないような、低級な政治劇を見せつけられることになりかねない。そうした低俗な政治が生み出すものは何んであるか。さらに、エスカレートした暴力ではないと、誰が言えようか。