エッセイ 塩考 <時代の移り変わり>
時代もまったく変わってしまったなと思う食品の代表として、「塩」が挙げられると思う。ご存知方も多いと思うが、昔は、「塩」は国が専売特許を取って売っていたくらいの人間その他生物には無くては適わない、生命維持のためには必須の食品である。
今、塩に対する認識はどうであろうか。現今の医療従事者にとっては、高血圧の原因の急先鋒に挙げられる、反健康食品の第一位に掲げられる食品として、考えられるようにさえなってしまっている。
昔は、生命を維持するのに必須の食品だったものが、現在では、健康を脅かす最大の敵である。これは、一体どういう認識のズレ、しかも、極端と言って良いくらいの違いであろうか。
先ず、押さえておかなければならないことは、塩は、他に代替物がまったくない、生命維持のためには欠かせない成分であることに、今も昔も、変わりはないという事実である。
例えば、甘味料には、砂糖の他にいくらでも代替物となるものがあるし、さして、重要な成分とは言えないのだが、塩味というのは、まさしく「塩」以外の代替物となる他の物質がなったくない、事は、生命維持にさえ関わる重要な成分なのである。
では、なにゆえ、現代このように、塩といえば、反健康食品として蛇蝎視されているようになってしまっているのか、思えば、不思議な現象だと言うしかないようなところがある。
会津磐梯山は宝の山とは、古くから歌われてきた歌であるが、なぜ、宝の山だったかと言えば、山なのに、塩が取れるという世にも珍しい山だったからである。
塩については、じつに、時代も変わってしまったなと思わせる、認識のズレが、厳然としてあるようである。
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