閑話休題 ある芸術原理 <岡本太郎のことば>
わたしは、元々、原理とか理念というものを好まない性格である。殊に、芸術の世界で、原理とか理念とかいうことばを聞くと、これらのことばを発した人間の硬直した表情というものが思い浮び、なんとも言えない、興ざめな気持ちになってしまうのである。
「芸術は、きれいであってはならない。心地よくあってはならない。うまくあってはならない。」
この言わば、現代風の芸術家向け三ヵ条を、後生大事と律儀に守り、果ては、原理のように振り回す人の如何に多いことだろうか。
芸術に、反語的な原理などを求めて、どうしようというのだろうか。現代、いかに芸術的な観念が、危機に瀕した有り様であろうと、芸術とは、心を解放し、上手過ぎるほど上手でなければ、適わない手仕事であることに、変わりはありはしない。
現代風の芸術家らしい格好だけは、したくないものである。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。