エッセイ なぜ君は自分自身に対して最良の友人になろうとしないのか
アランの「幸福論」に見える言葉である。
また「前向き」や「プラス思考」など、現在、流行している多くのことばの源泉になったのが、アランの「幸福論」である。
アランは哲学者というより、フランス流に「モラリスト」という方が適当な人で、人間的な考察を、単に、哲学的考察に終えないで、そこから先、どのような心構えに持って行くのが良いのかを、フランスの親切な神父さんのように、人々に寄り添って考えてくれる人である。
ただ、モラリストという意味合いは、人間観に格段の洞察を示した人ということで、あの、人間に対して、底意地の悪い見方をすることで有名な、ラ・ロシェフコーもモラリストと呼ばれている一人である。
現在、アランのような人間観が主流を成している理由は、「幸福論」などが流行る時代がそれを要請していることは、もちろんであろうが、人間について、意地の悪い見方をするのは、日本の自然主義文学以来、もう、飽き飽きしたという時代相の現れなのかも知れないと思っている。
少なくとも、今のところ、ラ・ロシェフコーの苦み走った人間観は、出番ではないようである。
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