傑作のブログ記事
傑作(ムラゴンブログ全体)-
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ドストエフスキーの大小説によく見られるのですが、極限にまで紛糾したと思わせる男女間の心理のせめぎ合いが、この短編小説では、まことにコンパクトに、けれども克明に描き出されます。自分でも知らぬ間に、新妻の心を、ぎりぎりにまで追い詰めてしまった金貸しを生業とする男は、自ら命を絶った主人公のおとなしい妻の... 続きをみる
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この短編小説は、いわゆるドストエフスキーらしい心理観察眼というものを、まるで感じさせないものです。作中、老婆は忽焉と息を引き取ります。天寿を全うした老婆の死は、誰にも悲しみを与えません。死ぬ直前の老婆は、しきりに自分の曾孫のコートの丈が少しばかり短いことを気にしていましたが、もう誰もそんなことを気... 続きをみる
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この小説のモデルは、アウシュヴィッツの強制収容所で、自ら、ある男の身代わりになって、獄死したコルベ神父だとされています。一般社会では、愚図で愚鈍な男という烙印を押されていたこの神父は、遠藤周作の心を強く揺さぶり、この小説の得難いモチーフとなりました。まるで、敬虔なカトリック作家遠藤周作と人を笑わせ... 続きをみる
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シェイクスピアのギリシア政治劇です。「ブルータスお前もか。」の名台詞が見えます。シェイクスピアの中ではもっとも男らしい剛毅果断な悲劇と言っていいでしょう。作中「あの男はおそろしい、何を考えているか分からぬ。あの男は痩せているからだ。」という文句は、後世の心理学者クレッチマーを刺激して、今でも人々に... 続きをみる
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江戸時代に取材した短編小説です。話の主題はたいへん重く、実の兄弟をやむを得ない事の成り行きからあやめてしまい、護送船に乗せられた男の話です。ここでも、やはり鴎外は自分の意見などを陳述していません。ただ、護送船の船頭にこの男は果たして、罪人と言えるのだろうかとお上に問うてみたいと思わせて、物語を終わ... 続きをみる
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当時、見掛けだけ大げさでロマンチックな小説が持てはやされていましたが、スタンダールはそうした小説を憎み、一見平板にさえ見えるような文章を用い、本当のロマンチシズム溢れる小説を書くことに成功しました。スタンダールは、この小説を自分の膝に親類の少女を座らせて、その少女に語るように口述筆記をさせて書いた... 続きをみる
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晩年の志賀は、老練な剣豪のような風貌をしていました。志賀は、日本語から大理石像のような不動の文章をきり出すことに成功しました。ニュアンスが豊富なために、平易な言語で、正確な文章を書くことの難しい日本語の性質と、長年の間、格闘したことのあらわれなのでしょう。その日本語をあくまで生かしきりながら、簡に... 続きをみる
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数多いバルザックの作品の中でも、選り抜きの最高傑作です。バルザックは、スタンダールと同時代人のフランスの小説家ですが、スタンダールとはまるで作風が違います。充分に前置きを固めておいて、大団円まで持っていきます。前置きがかなり長いために、中途で読むことを諦めてしまう読者も少なくないほどです。けれども... 続きをみる